インクジェットプリンターはインク滴を用紙に吹き付けつけて印刷するので、インクに対する紙の特性によって、その表現性は大きく変わります。
そこでまず紙の種類とその特徴を紹介し、家電量販店などに実際に販売されている用紙を基準に、それぞれの目的にあった用紙選びを説明します。

加工紙と非加工紙の違い

加工紙

加工紙は紙の表面に光沢材などのコーティングを施しているので、色を鮮やかに表現します。 種類は、光沢紙、コート紙、マットコート紙の3つに分かれます。

光沢紙
表面をコーティングした光沢のある用紙で、インクの滲みが少なく、鮮やかな発色が特長です。色が鮮やかで再現性が高く、シャープな印刷結果が得られます。

コート紙
上質紙などの表面にコート剤を塗布しているので表面につやがあり、文字や画像が鮮明に印刷されます。自然な発色で反射も少なく、見栄えや鮮やかな色彩が重視される印刷物に適しています。

マットコート紙
つや消しのコーティングが施されているので、コート紙に比べて光沢が控えめで落ち着いた印象になります。

非加工紙

非加工紙は特別なコーティングや表面処理を施していない紙です。
インクの吸収が良く、インクが紙にしっかり浸透するため、早く乾きます。コーティングをしていないので、リサイクルしやすいという環境面での利点もあります。光沢紙やコート紙に比べて印刷の発色は劣る場合がありますが、落ち着いた仕上がりが特徴で、普通紙、再生紙、上質紙に分類されます。

普通紙
「コピー紙」や「PPC(Plain
paper copier)用紙」とも呼ば れ、一般的に文書や資料の印刷 に最も多く使用されている用紙 です。
印刷の品質はそれほど高くはあ りませんが、他の用紙に比べて 安価でさまざまな印刷機で使用 することができます。

上質紙
化学パルプを100%使用して作られた用紙で、普通紙と比べて少し割高ですが、印刷品質に優れ、紙の色も白いため普通紙よりもきれいな仕上がりになります。またコシがあって破れにくいので、ページ数の多い印刷物にも適しています。

再生紙
新聞紙や雑誌などの古紙を再利用して作られた用紙です。
普通紙や上質紙に比べてやや黄色がかっていますが、印刷の品質や汎用性は普通紙と大きく変わりません。最近では環境問題の観点から国や官公庁からも再生紙の使用が推奨されています。古紙の再利用にコストがかかるため普通紙よりもやや割高になりますが、環境に配慮したい方には最適な用紙です。

家電量販店で販売されている紙の種類と用途

実際に家電量販店などで販売されているインクジェットプリンター用紙の特徴をまとめてみました。用紙選びの参考にしてください。

1. 光沢紙
特徴高光沢で色の再現性が高く、
鮮やかな仕上がり

用途写真やカラフルなグラフィックの印刷
2. コート紙
特徴滑らかな表面で、テキストやグラフィックが鮮明

用途プレゼン資料、カタログ
3. マットコート紙
特徴光沢紙よりも控えめなつやで、反射を抑えつつ色の鮮やかさを保つ
用途写真印刷
4. 普通紙(コピー用紙)
特徴コストパフォーマンスが高く、日常の文書印刷に最適

用途一般的な文書印刷
5. 上質紙
特徴普通紙よりもくっきりとした 仕上がり

用途一般的な文書印刷
6. 再生紙
特徴古紙を再利用して作られた、 環境に配慮した選択肢

用途一般的な文書印刷

(参考)

7. マット紙
特徴光の反射が少なく、落ち着いた仕上がり

用途プレゼン資料、アート作品、写真印刷




8. 厚紙(カードストック)
特徴丈夫でしっかりした質感

用途ポストカード、名刺、しおり、ポスター





9. 特殊印刷
特徴特定の用途に応じた紙
用途●ラベル紙:
シールやラベルの印刷
●名刺用紙:名刺の印刷
●ポストカード用紙:ポストカードの印刷
●アイロンプリント紙:布地にプリントするための用紙


まとめ

プリンター用紙の選び方は、主に用途に応じて決まります。それぞれの特徴を理解し、使用するプリンターに最適な用紙を選ぶことが重要です。使用するプリンターの特性や推奨事項も参考にしながら、最適な用紙を選びましょう。